詐欺の被害金を取り返す
詐欺の被害から金銭を取り返す方法は千差万別ですが、代表的な方法を提供します。当事者間での話し合い(交渉)
当事者間で話しあう余地があるときは、話し合いによる金銭返還を求めるのが一般的です。
公正証書の作成
各都市にある公正役場で公正証書を作成すれば、その内容は裁判判決同等の効力があると考えられています。そのため、当事者間の話し合いなどで決まった内容を公正証書にするのが一般的です。
配達証明付き内容証明郵便(通知書や催告書)
内容証明郵便は、主に確定日付があるという部分で有効に活用できます。場合によっては、この内容証明郵便だけで金銭の返還がなされる事もあり、意思表示の方法として多く活用されています。
訴訟(民事訴訟)
裁判における金銭返還のための争いです。一般的には、話し合いの余地がないとき等に利用されます。
支払督促・民事調停
支払督促・民事調停共に裁判所を使った請求方法です。支払督促は裁判所からの督促が送達される事となり、民事調停は裁判所で話し合いを行うということになります。
相殺・物品引き上げ
詐欺行為による取引で商品を納入している場合などは、相殺方法による金銭返還や納入した物品を引き上げる事で被害を最小限にする方法があります。
あり得ない金銭等返還方法
暴力団や得体の知れない輩を使い、暴言や暴力などによって返還を求める行為は違法であり犯罪です。強迫によって約束や契約をさせても、それ自体が無効ですので、何ら法的な効力を持ちません。
詐欺による被害金返還の準備
何事にも準備が大切です。特に法的に根拠ある主張をきちんと展開させられるように準備を行いましょう。契約書などの準備
詐欺の手口によっては、契約書等が存在していないものもありますが、一体どういった決まりや合意に基づいて金銭などの資産を相手に渡したのか、ということが第三者にもわかる書面などを準備する必要があります。
一体何が詐欺に当たるのかという主張や証拠
詐欺と言っても、現実問題として詐欺に当たらないものも多くあります。そのため、一体何が詐欺となるのかをきちんと法的に説明ができるようにしなければなりません。その主張の際は、必ず書面や証拠などによって、法的な根拠を見出し、立証する必要があります。
被害金額の確定など
いくら被害を受けたのかということを、第三者にわかりやすく提示できる必要があります。望ましいのは、領収書や契約書、振込み明細、通帳など金銭などについて明記されているものや、銀行などから発行される振込み証書などです。メモや録音などについても、有効ですが、立証問題で新たな争点となったとき、その認定などに時間を要す場合があります。
詐欺金銭返還の知識
詐欺に関する金銭返還などの知識念書の効力
念書とは、他の和解書や契約とは異なり、一方が詫びを入れる主旨で作成される事が多く、契約となると、片務契約と考えられます。例えば、投資などの詐欺に遭い、騙した側から念書を一筆入れますといわれた場合、注意しなければならないのは、その内容です。法外な金額返済が示されていた場合や公序良俗に反する内容が書かれていた場合、それ自体が無効となるのが原則です。また、強迫や詐欺などの行為によって書かれた念書は効力がありません。ただし、念書とは相手側のサインや押印などがあり、その内容が明らかになっていますので、法的に価値のある書面である事は明白です。できれば、念書に押された印鑑の印鑑証明を添付したり、免許証のコピーを添えるとその効果が強くなります。
時効など
各契約の種類によって時効の期間はマチマチですが、あまりに期間を引き延ばすと時効となることが多く、時効になる前に動き出さなければ、法的に争えなくなってしまいます。「おかしいな」と感じたら、すぐに独自の調査や資料集めなどに着手した方がよいでしょう。また、時効については中止や援用、停止などが行えますので、先に時効の期間を引き延ばしていくことが大切です。
裁判所
裁判と言えば、とても大事(おおごと)のように感じますが、実際はそれほど大事でもなく、敷居はそれ程高くないのです。特に簡易裁判などは、一般の人でも無理なく実行できるようになっていますので、話し合いの余地がなくなったり、詐欺の加害者側が理由なく金銭返還しないなどの理不尽な対応に出た場合、裁判所で申し立てをする必要があります。