少額訴訟
少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払いを請求を目的とする紛争について、時間と費用をかけずに解決を図る制度です。
少額訴訟の特徴は、1回の審理で終了し、審理を行った日のうちに判決が言い渡されることです。
通常の訴訟では判決が出るまで数ヶ月を必要としますが、少額訴訟では原則、即日の判決言い渡しができます。
また、手続が簡易であり、専門的な法律に関する知識がなくても申立てることができます。手続に関しても最低限の手続に必要な事項については裁判所側から説明を受ける事ができます。なので、弁護士などの代理人を立てることなく申立てることができます。
審理の様子は裁判官と当事者が丸いテーブルを囲み、対話をするような雰囲気で進められます。さらに、少額訴訟で判決を得た場合、強制執行が可能となります。他にも、判決に対してその内容に不服がある場合でも控訴することができません。ただし、異議の申立ては可能となります。
少額訴訟申立の際に注意する点は、審理を行う日に判決が出るので、証拠書類等はその日のうちに調べられるものに限られてしまうことです。審理の時間は1,2時間となり、その時間内で調べられる量の証拠に限られてしまいます。なので、証人尋問も、証人が複数存在する場合も注意が必要です。
また、少額訴訟は金銭の請求を目的としていなければならず、たとえ訴額が60万円以下であっても、動産や不動産の引渡し又は明け渡し等にはこの制度を使用することはできません。
さらに、少額訴訟の利用回数には制限があり、同一原告が同一簡易裁判所において年間10回までに限られます。この利用制限を越えて申立てた、又は利用回数を偽って届出をした場合、10万円以下の過料に処せられます。他にも、公示送達ができないため、相手の所在地が不明な場合はできません。
判決には、分割払や支払猶予等の判決が出ることもあり、その判決に対して不服を申立てることはできません。
少額訴訟の対象となるものは、賃金請求、賃金返還請求、敷金返還請求、交通事故の損害賠償請求、解雇手当請求等があります。
少額訴訟の手続は、まず、管轄の簡易裁判所に少額訴訟の訴えを提起する書類等を提出します。管轄裁判所は原則、相手方の所在地を管轄する簡易裁判所となります。
ただし、交通事故の損害賠償請求等では、事故のあった管轄の簡易裁判所に訴えを提起することも可能です。次に、裁判所で訴状の審査が行われ、訂正等なければ相手方に訴状が送達されます。裁判当日、裁判所に出頭し口頭弁論を行います。口頭弁論終了後、裁判官によって判決が言渡されます。
少額訴訟の訴状への記載事項は、当事者の住所氏名、請求の趣旨、紛争の要点となっています。請求対象によって書式が変わりますが、それぞれの書式は裁判所に用意されています。
少額訴訟の訴えを提起された場合、裁判所から訴状、呼出状、答弁書の用紙、少額訴訟の説明書が送達されます。
訴状に記載されている内容に認められない部分がある場合や支払方法についての要望等、答弁書に記載し裁判所に提出します。その後、裁判当日に裁判所に出頭し審理、判決言渡しとなります。
答弁書も出さずに期日にも出頭しないでいると、原告側の主張を全面的に認めたことになり、判決が出てしまいます。判決に異議がある場合には、判決又は判決書送達後2週間以内に申立てることができます。
ただし、強制執行の効力は失われることはないので、異議申立とは別に強制執行の停止の申立てをする必要があります。
少額訴訟申立の必要書類等
訴状(入手先:裁判所)
登記事項証明書(当事者が法人の場合 入手先:法務局)
証拠種類
収入印紙(訴額によって異なります。)
少額訴訟手続の流れ
管轄簡易裁判所に訴えを提起する。
裁判所が訴状の審査をする。
相手方に訴状等が送達される。
口頭弁論期日に裁判所で審理を行う。
判決又は和解成立。
少額訴訟
少額訴訟についての、裁判所該当ページは下記のURLからリンクされています。
詳しくは裁判所HP
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui/minzi/minzi_04_02_02.html